金魚鉢に大きな金魚が来ることがある。黒くて大きな金魚と、皮の厚い金魚の糞と、それに群がるバクテリア。水が濁って嫌な臭いがした。
金魚の糞が私に降り掛かってくる。残された小さな場所で、小さな金魚は精一杯生きようとした。でも、金魚鉢からは出られない。
大きな金魚がいなくなると、やっと、私一人には大きすぎる金魚鉢を独り占めする。この水は神代から伝わる川の水だから、汚いものは跡形もなく消えてしまう。
やがて金魚鉢が割れて、ガラスは全部粉になった。生温い水が全て流れ出ていくのを見ながら、私はびちびちと笑っていた。